多分君の事を一番わかっているのは僕で、一番わかってないのは僕だ。
多分俺のことを一番わかっているのは君で、一番わかってないのは・・・ダレ?
There is some misunderstanding
いつも、一緒。
ずっと隣にいて、それが当たり前だと思ってきたから。
どうしてこうなったのか、未だにわからないんだ。
否、わかりたくないんだ。
「逃げてるのはあなたの方よ!」
その言葉に、何かがはじけたような気がした。
心が、落ち着かない。
行き場のない、わけのわからない衝動が全身を震わせる。
ふわふわして足に安定感がなく、それでいて妙にリアル。
こんな思いは。
こんな思いは。
「君に何がわかるって言うんだ!」
そう、君に何が分かるって言うんだ。
僕にすら、自分にすらわからないのに。
「一騎ならわかってくれると思った!」
僕にわからないことですら、一騎なら。
そう、君ならわかってくれると思って。
「一騎君だって、あなたのことそう思ってたに決まってるじゃない!」
まるで悲鳴のような、そんな台詞が飛んでくる。
それを聞こえないフリでやり過ごした。
何より鮮烈で明確に、聞き逃した。
オネガイ ボク ニ シンジツ ヲ キヅカセナイデ。
ホントウ ハ ワカッテ イル カラ。
ワカリタク ナインダ。
その背中が遠く感じるようになったのはいつからだろう。
いつもすぐ傍。
背中を向けられても、笑顔が見えた。
なのに。
距離を置いたのは自分だったけど。
でも、それでも傍にいてくれていると、君は傍を離れないと、そう無意識のうちに思っていた。
君の傍に置いていてくれると。
「僕に必要なのは、この左目の代わりになるものだけだ。」
指の先が震えるのが、自分でもわかる。
初めて感じる拒絶。
向けられた左目は、うつろ。
いつも瞳の奥に見え隠れする優しさが、今日は見えない。
まるでガラス玉のように硬質に光を反射する。
視力がなくても、数少ない彼の感情を表す部位だったそれ。
視力を失って、不自由になった君へ。
懺悔の思いを込めて自分を捧げた。
本当のところは。
とっくに君が俺のこと許していると知っていて、捧げた。
過剰に与えられた代償を、そのまま素直に受け取れる君じゃないと知っていたから。
あえて。
そして、その代償を、それでも断りきれずに受け取っていた君に。
いつまでも傍にいていいんだと、君の一部になっているのだと、そう理解して。
君の一部。
だから、俺が考えていることは君が考えていることで、君が感じていることは俺が感じていることだと思っていた。
思い込んで・・・いたんだ。
きみのひだりめのかわりになったのは、つみのいしきのためじゃない。
きみのいちぶになりたかった。
とけこんで、かんじょうさえをもいっしょに。
きっと、それに気付くにはお互い近すぎた。
それすら気付かず、気付けないからこそ傷口は開き、膿んでゆく。
ただただ、同じことを願いながら。
離れている時間は、いつまでも、果てしなく感じて。
けれど、それを、弱音を口にするには、彼らはまだ子供過ぎた。
一人はその高い矜持のために。
一人はその臆病さゆえに。
『ねぇ、今、どこにいるの?』
『会いたいよ・・・』
突き放したのは自分なのに。
去っていったのは自分なのに。
どうして、こんなに会いたいんだろう。
君の顔を見て、君に触れて、君の声を聞きたい。
激しい渇望。
ただ、今はそこにいない君を思って、自分自身を抱きしめた。
2004.09.28
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