こんな日は、なんかいいことがありそう。

SUN SHOWER


明るい日差し。
そこに響く、黄色い歓声。
ちょっとした高台にある公園。
そこを元気に駆け回る子供たちの姿がある。

「ねぇ、次は何して遊ぶ?」
「うーん、じゃあ、おにごっこ!」
「誰がおに?」
「じゃんけんで決めよう!」
「せーの」

『じゃんけんポン!』

「勝ったー!!」
「僕も勝ち!」
「あー、いいなぁ・・・」
「ほら、次いくよ!」

『じゃんけんポン!』

「やったぁ!」
「これで決まりだね!」
「じゃんけん弱いなぁ」
「十数えるんだよ。間違えないでね。」
「うるさいなぁ!もう、ほら、数えるよっ!いーちっ、にーい・・・」

キャー、と一層高い声が上がり、思い思いの方向に散らばっていく。

「絶対負けないからな!」
「じゃあ、また負かしてやる!」
「二人とも公園出ちゃだめだよーっ!」
「出ないよーっ!」
「そんなこと言って、お前だってこの間ずっと隠れてただけじゃないか!かくれんぼじゃないんだからな!」
「だって隠れてたら捕まんないんだもん!」
「それじゃあおにごっこじゃないだろ!」
「ちょ、ちょっと。」

その場で立ち止まって、二人は言い合いを始める。
殴り合いの喧嘩でも始めそうな勢いだ。
そんな二人を止めたのは、傍にいたもう一人ではなく、

「じゅーうっ!いくよっ!」

という、鬼の声。

「もう十数えたの?早いよ!」
「お前らが喧嘩なんかするからだよ!」
「わぁ、こっちきた!」
「逃げろっ!」

三者三様に、分かれて逃げる。
その一人に、狙いをつけて鬼が追いかけ始めた。

「なんで僕なのーっ!?」
「あいつらよりもお前のほうが足が遅いからだよ!」

至極最もな理由だ。
けれど、誰だって負けたくない。
目の前にもう一人走る人物を見つけて、そちらのほうに寄っていく。

「こっちにくるなよ!捕まるだろ!」
「だから来たんだよ!」
「ひどい!」
「待てーっ!」

わぁっと声を上げて、一生懸命走る。
皆捕まらないように必死だが、その顔は笑顔だ。
そんななか、きゃあきゃあ言って走る一人が足を止めた。

「タッチ!」

ここぞとばかりに、鬼は彼を捕まえた。
けれど、反応が返ってこない。
不思議に思って前に回ると、彼は空を見ていた。

「?どうしたの?」
「雨・・・」
「え?」
「雨、降ってきた。」
「うそだ。だって、こんな晴れてるんだよ?」
「あ、ほら、また。」

今度は、ぽつ、ぽつ、と誰が見ても分かるように雨粒が落ちてきた。
それは次第に量を増して、シャワーのように降り注ぐ。
暖かい、雨。

「雨、雨が降ってきた!」
「晴れてるのに変なの。」
「不思議だね。」

鬼ごっこの途中というのも忘れて、皆、彼らの周りに集まってくる。
皆で、上に向けるだけ向いて空を見た。

「これ、なんていうんだろ?」
「お天気雨だよ。」
「変な名前〜。」
「あ、虹!」
「どこどこ〜?あ、ほんとだ!」
「すごぉい・・・」
「綺麗だね・・・」

しばらくぼうっとなって虹や空を見ていたが、一人がはっと気付いたように焦点を合わす。
そして、

「タッチ!タッチ、タッチ、タッチ!全員捕まえた!」

「あ〜っ!」
「ズルイ!」
「忘れてたほうが悪い。」
「なんだよ〜、もう。」

不満げな顔。
けれど、隠し切れない笑み。

「なんか、起こりそうだよね。」
「うん、いいことありそう!」
「そうだね!」
「じゃあ、次は何にしよっか。」

子供たちの歓声は途切れることなく、公園に響く。
それは、夕方まで続いた。

こんな日は、なんかいいことがありそう。
思わず笑みが零れてしまうような。


「どうしたんだ?」
「ん、ちょっと。」
「あ、天気雨。って、濡れてるじゃないか。傘は?」
「いいんだ。この雨、気持ちいいよ。」
「・・・あったかい、な。」
「なぁ、」
「?」
「なんか、いいことがありそうな気がしないか。」
「そうだな。」

そう言って、笑いあう。
そのまま、どちらからともなく唇を合わせた。

小さな、幸せ。
ちょっと、いいこと。


2004.08.25
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