君に溺れた振りをして、けれど、本当は君こそその状態にあることを知っている。
知っているけれど・・・それは黙っておこう。

disguaise


何も言わず、ただ、君は見つめてくる。
それが、合図。
髪をつかんで引き寄せて、暴力的なキス。
それに非難の色を示そうとして、いつも失敗している、君。
君は、俺が想像している以上に淫らで、君が思っている以上にふしだらだ。
もっともそれに気付いたのは、つい最近で。
他の女を抱くようになってから気がついた。
君はかなりの潔癖症だから、そんなこといったら、ものすごい勢いで殴りかかってきそうだ。
そんな風に激昂する君も綺麗だし、そそるけれど。
痛い思いはしたくない。

口を離すと、つぅっと光る糸。
顔は上気して、けれども、慣れたものだ。
まだ足りない、といった感じにこちらを見てくる。
全くそうやって目で訴えかけるのはいい加減やめたらどう?
言葉じゃないと、伝わらないこと沢山あるんだから。
俺たちは経験してきたはずだ。
それはもう、痛いくらいに。
今更、何年も前の話をするつもりもないし、君に溺れている『設定』だから、まぁ、従うけど。

痛。
唇をかまれた。
はいはい、我侭なお姫様なんだから。

今度はゆっくりと深く口を合わせる。
舌を絡めて吸い上げると、くぐもった声が聞こえてくる。
あ、いいね。
感じてきている。
未だに・・・こんなに何度も身体を重ねておいて、自分から誘っておいて、まだ抵抗をぬぐいきれない君。
その、理性と快楽の間でゆれる表情が、何よりも艶やかで好きだ。

口を合わせたままそっと指先で身体のラインをなぞっていく。
一旦腰までなぞった後、口をずらして耳朶を食む。
それと同時に服に手をかけると、俺の服にも君の手がかかる。
お互いに上着を脱がしあって。
君の胸に尖る赤いものが空気に晒されたと同時に口をそちらに移した。

「んはぁ・・・っ」

高い声が上がって、頭を抱え込まれた。
さらに硬く尖るそれを押しつぶすように舐めあげれば、ぎゅっと押し付けられるように腕に力が入る。
それに講義するように、吸い上げると、いきなり腕から力が抜けて、床に座り込んでしまう。
あわせて一緒に床に沈み、お仕置き、と一言、胸の先端を掠めるように舐めた。
一際高い声が上がって、背が弓なりにしなる。
そのなだらかな丘をゆっくりと舌の方まで舐め、スラックスに覆われたところまで行き着く。
スラックに隠されたそこは、けれど傍目から見てもわかるくらいにその存在を主張していた。
布の上からゆっくりと撫で上げる。
切ないため息が零れてきた。
ため息に急かされるようにして、スラックスを剥ぎ取れば、もうこれ以上ないくらいに勃ちあがった君自身。
その先端からは蜜が零れだしている。
特にそれに関しての感想は述べない。
これまでにもう自分のボキャブラリの全てを使い果たすくらいに散々言葉で嬲ったからだ。
そっと口に含むと、息を呑む気配。
君の口が素直に嬌声を上げるように、丁寧に丁寧にできる限りの快楽を与える。
次第に口からあられもない声が絶えず零れるようになるのは、もう限界の証。
限界を訴える声を無視して、先端をそっと舌先でつついた後、強く吸い上げると、身体が大きく痙攣して、口の中に青臭い味が広がる。
それを全て嚥下すると、快楽に潤んだ彼の瞳と目を合わせる。
しっかりとこちらを見たことを確認したうえで、自分の唇を舐めた。
すると、それだけでまた君自身が反応する。
快楽と羞恥に上気した顔は、その傷をさらにはっきりと浮かび上がらせていた。

その傷。
今はもう、ただ、君の顔を飾る飾りでしかない。

全てを失ってしまったあの時、俺たちの関係も崩壊した。
そして・・・そのときに、その蟠りも崩れてしまったのだ。
傷で繋がるような、そんな柔な関係でいられなくなったといってもいい。
とにかく、彼に対するあの罪悪感はまるで最初からなかったかのように消えうせた。
それどころか、彼の方がどこかしら思うところがあったようだ。
立場は逆転し、そして、それすらも崩れて今の関係がある。

熱を吐き出し、急速に冷めていきながらも、余韻が身体を敏感にさせる。
再び熱を取り戻した身体に触れ、今度はその秘められた奥に手を伸ばす。
まずは一本。
つぷり、と音を立てるような感覚とともに指が飲み込まれていく。
湿らせてもいないその指は、滑りが悪いものの抵抗なく入り込んだ。
異物を挿入されることに慣れきった身体は、快楽を求めて動く。
次第に指を増やしていくと、君の口からは嬌声がひっきりなしに零れてきた。

そうやって乱れた姿を初めて見たのはいつだったか。
最初はよく見知った幼馴染が変貌するその姿がとても怖かった。
その淫靡さに自分の中に眠る欲望を引き出されながらも・・・恐怖があった。
まったくなんて少年時代をおくっているんだか。
最初に抱いたのは男で、しかも幼馴染、だなんてそうそう経験できるもんじゃない。
だからといって、それが不満かと聞かれれば答えはNO。
それでも満足している自分がいる。
だからこそ、未だにこんなことしているんだろうけど。

十分ほぐれたことを確認してから、指を抜いた。
それが不満なのか、また物欲しげな顔をする。
君が君の口から君の言葉で俺を欲しがるまで、俺は、君を優しくなんて抱いてやらない。
本当は、それまで待っててもいいのだけれど。
お互いに取り決めた暗黙の『設定』。
それがなくなるまでは黙って君の望みどおりにしてあげる。
優しくは、しないけど。

自分の張り詰めたものを取り出し、君のそこに宛がうと、もう待ちきれないといったように腰が揺れた。
その華奢な腰を両腕で抱えて一気に貫く。
指とは違い、圧倒的な質量を持つそれは、どんなに身体を重ねても慣れることはないらしい。
背中に爪を立てられた。
鋭利な痛みに思わず眉を寄せてしまう。
彼本人はそんなことに構っていられるほど余裕はないらしく、必死になって痛みに混ざる快楽を探していた。
俺自身が動くこともなく、彼の腰が揺れる。
次第に激しさを増していくそれに、彼が感じていることを知り、そしてこちらからも揺さぶってやった。
そこまで行けば、ただただお互い本能のまま上り詰めるだけだ。
嬌声と、荒い息遣いと、湿った音。
その音がさらに追い上げに拍車をかけていく。
一際君の口から大きな声が上がったかと思うと、ぎゅっと締め付けられた。
同時に腹に掛かる熱いもの。
自分の身体に大きな電流が走ったかと思うと、一際大きな快感が襲ってきて、たまらず熱を開放した。

結局、それに君は気がついているんだろう?
優しくされるのが怖いから、そんな風に『設定』にこだわっていることなんて百も承知なんだ。
自分が俺を求めていることを認めるのが怖い、そして、受け入れられればいつ突き放されるのかが怖い・・・。
不安なんだね。
そんな風に思う必要なんて、ないのに。
そして、なのに俺を求めずにはいられない矛盾に苦しんで、気付かない振りをしている。
でも、君自身がそれを乗り越えない限りその先になんていけないんだ。
だから君が、俗に言う『恋人同士の甘い関係』を求めるまで。
俺は、本心を隠して君を抱こう。

気だるい空気にたゆたう身体。
いつの間にか腰まで伸びた、明るい色の髪が床に広がっている。
その髪を一房つかみ、そっと口付けた。
エナメルのつるつるとした感触。
ひんやりとしていて気持ちがいい。
髪を掬っては落とし、掬っては落としを繰り返すと、気だるげな視線がこちらに向けられていた。

「何?」

そっと囁くように聞けば、何かをつぶやくように口が動いた。
けれど、その声はこちらまで届かず、口の動きも不明瞭で何を言ったかはわからない。
もう一度言うように視線で促したが、彼は頭をゆっくりと振って目を閉じてしまった。

その唇が規則正しい寝息を立てるのを確認してから、そっと着ていた服を身体にかぶせる。
あのときに比べ格段に大人びた顔立ちは、けれどあのときよりも素直な表情を晒している。
その頬にそっと口付けを落として、そっと呟いた。


君に溺れた振りをして、けれど、本当は君こそその状態にあることを知っている。
知っているけれど・・・それは黙っておこう。

君が、事実を認めるその日まで。

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