何かひとつ、楽しいことを


「ねぇ、アスラン・・・」
「なんだ?」

エターナル艦内の一室。
やや広めの空き部屋。
キラはベッドの上で寝転んで。
アスランはそのベッドにもたれかかるようにして、床に座り込んでいる。
アスランの手に緑の小鳥。
いつもは鳴きながらそこら辺を飛び回っているが、今は分解されていて、おとなしく手の中に納まっている。

「たまにはさぁ、なんか別なことしようよ。」
「別なことって・・・?」
「うーん・・・」
「思いつかないなら、特にしたいこともないんだろう。いいんじゃないのか?のんびりしてるのも。」
「そうなんだけどねぇ・・・」

ごろごろとベッドを転がりながら、「つまんないなぁ」とキラはつぶやく。
それが、どんなに幸せなのかは、わかってはいるのだけれど。
にらみ合い、もしくは、疲弊。
そのせいで現在、戦闘という戦闘は、ない。
もちろん、終戦したわけでもなんでもなく。
いろいろなことが偶然に重なっておきた小康状態、というのが一番近い。
いつ、破裂するかわからない。
そんな危険を孕んだ、一時の安らぎ。

「よし、完了。」

『トリィ』

電子的な鳴き声と一緒にばさばさとロボット鳥が飛ぶ。
身体の調子を整えるように旋回した後、キラの頭に止まった。
キラはその鳥を自分の指に乗せて、目の前に持ってくる。

『トリィ?』
「よかったね、メンテナンスしてもらって。僕にしてもらうよりもずっといいでしょ。」
『トリィ』

まるで、言語を理解しているかのように応対するロボット。
今じゃそんな珍しくもないものだけれど、それでも13の少年が造ったと聞くと皆驚いた。
大切な、宝物。

「いや・・・メンテナンスの必要はないくらいだったさ。よくやってるみたいだな。俺が見たのはこれで2回目だけど・・・この間よりも綺麗になってたし。」
「ううん・・・アスランにはかなわないって。」
「そんなことない。苦手な割にはよくやってる。それに・・・どんどんうまくなってるみたいだし。そのうち、抜かされそうだ。」
「アスラン抜けたら、そりゃすごい。」
「お前、人事みたいだな。」
「だって、アスランにマイクロユニットで勝てるやついたら、そんなやつ人間じゃないもん。」
「キラ、それ大げさすぎ。」
「そんなことないよ。」
「はは、ありがと。」

ゆっくりと時間が流れる。
何をするでもない、何もしなくてよい時間。
話すことがなくなって、静かな空気が室内を満たす。

「う〜ん、暇。」
「そう?」
「うん、暇。アスランは?暇じゃないの?」
「いや、別に。ボーっとしてるの好きだし。」
「アスラン、それ爺くさいよ。」
「そんなことないだろ。心外だな。」
「ああああ、暇、ヒマッ!」
「キラ・・・」

もう、子供じゃないんだから・・・しょうがないなぁ。
少しは静かにして欲しい。
休みたいんだから。

「ねえ、アスラン。なんかしようよ〜。」
「だから、なにがしたいんだよ・・・。」
「う〜ん・・・じゃあ、エッチなこととか?」
「はぁ?なにそれ。却下。」
「うわ、そんな力いっぱい否定しなくてもいいじゃん。」
「する。却下。」
「ひどーい。だって、他にやりたいこと見つかんないし・・・。」
「そこはお前の思考に問題があると思うが・・・。いいじゃないか、何もしなくたって。」
「うう・・・だって、暇なんだもん。」

はぁ・・・とため息。
しばし、逡巡するように目を閉じて。
もう一度、ため息をついてから、アスランはキラのほうを向く。
そして、ちょいちょいとキラに向かって手招き。

「?アスラン?」

寝そべったまま、アスランのほうへ顔を近づける。

「ん〜、な・・・んっ!?」

一番近くまで、アスランに顔を寄せて。
そこを不意に、唇が掠めた。

ほんの一瞬。

「え、え?あ、アスラン?」
「これで、いいだろっ!少しはおとなしくしていろっ!」

何が起きたのか認識する前に、アスランは後ろを向いてしまった。
ただ髪の間から覗く耳が、真っ赤で。
だから、わかる。

「ふふ、ありがと、アスラン。」

きっと、顔が真っ赤になっているであろう彼に向かって礼を言う。
少し、どころじゃなく面白いことが見つかった。

「でも、あんなの、キスじゃないよね。物足りないでしょ。」

ぐいっと彼をこっちにに向かせて。
逃げようとする彼に深く、唇を合わせた。





2004.08.07



本・漫画・DVD・アニメ・家電・ゲーム | さまざまな報酬パターン | 共有エディタOverleaf
業界NO1のライブチャット | ライブチャット「BBchatTV」  無料お試し期間中で今だけお得に!
35000人以上の女性とライブチャット[BBchatTV] | 最新ニュース | Web検索 | ドメイン | 無料HPスペース