君の誕生日には、君が一番欲しいものを上げよう。
だから今日は、二番目に欲しいものをあげるよ。

SECOND


「何が欲しい?」
「何だ、唐突に。」

ちょっと驚いた様子で、総士は振り向いた。
総士の部屋の中。
何にもない・・・といったら彼は否定するのだろうが、それでも何もないと思わざるをえない、そんな空間。
その中で、質問を投げかける。

「特に意味はないんだけど。総士、あんまり何が欲しいとか言わないから。」
「・・・とっさに欲しいものを言えと言われても。というか、僕は特に欲しいものとかないんだが。」

・・・総士はいつもこうだ。
自分から、何一つ求めない。
求めることを、知らないんだと思う。
それでも、聞いてみたくて。

「・・・そんなこと、ないだろう。ひとつくらいあるんじゃないのか?」
「さぁ・・・あまり考えたことないからな。それより、いや、なんでもない。」
「総士?」

結構物事をすぱすぱという総士が言葉を濁すことは珍しい。
それで、少し気になった。
以前だったら、それでも訊かなかったと思う。
でも、今は知っているから。
『話す』ということが、どれだけ大切なことなのかを。

「総士、何か言いたいこと、あるなら聞くよ。」
「いや、本当に、何でもないんだ。」
「そうか、でも、なんかあったら言って欲しい。俺も、できる限り総士に言うから。お前と、たくさん話がしたいんだ。」
「・・・ああ。」

総士は何か考えるように目を閉じる。
それから、顔を上げると椅子から立ち上がった。

「総士?」

ちょっと驚いた声を上げてしまったのは、仕方がないことだと思う。
俺が座っているソファに、座ってくるとは思わなかったから。

「椅子、硬いからな。」

そんな風に、理由をつけて。
ちょっと隙間を置いて。
何もない正面を凝視。
その、真面目すぎるくらいに生真面目な顔が、総士の緊張を表していて、思わず笑みが漏れてしまった。

だって、これは精一杯の彼の意思表示。
欲しいものを示すために。
そして、俺が欲しいものを与えるために。

『沢山話したい』、その言葉に君はこうして来てくれた。
話すことが苦手な君の、それは拙いメッセージ。

「一騎。」

顔が不満げになって、こちらを向いた。
少し耳が赤くなっている。
それが、また、いかにも総士らしくて、笑ってしまう。

「一騎。何がおかしいんだ。」
「あ、いや・・・」

総士が空けた、ちょっとした隙間を埋めるように座りなおして。
僅かに引いたその頭に、そっと囁く。

「どうも、有難う。あと、わかったから。」
「何のことだ?」
「わかってるんだろ?」
「・・・」

黙りこんだ総士に、そっと口付けを与えた。

君の誕生日には、一番欲しいものをあげよう。
だから今日は二番目に欲しいものをあげるよ。
俺も、二番目に欲しいもの、貰ったから。

ちょっとしあわせ。
真ん中バースディ。


2004.11.08


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